’04年12月10日

Report　#030　　歴史対決！　80’s　 vs. 　90’s

 

1.　キャスティングタックルの年代別性能進化を検証！

 

私が投げ釣りを始めてから26年になるが、この間でもキャスティング用タックルは随分と進化した

。ロッドはグラス製からカーボンやボロン製へ、リールはアルミ製からカーボン樹脂製を経てマグネ

シウム製へ、スプールもスカート付深溝型からスカートレス浅溝型大テーパースプールを経て小〜

無テーパースプールへ・・・

 

このようなタックル面でのSC文化の変遷を歴史分類するなら、

1972年以前⇒原始SC文化（グラスロッドと改造リールの時代）

1972年頃〜⇒古代SC文化（初期カーボンロッドと綾巻きリールの時代）

1984年頃〜⇒中世SC文化（高弾性カーボンロッドと初期投げ専用リールの時代）

1993年頃〜⇒近代SC文化（超高弾性カーボンロッドと超ロングストロークリールの時代）

2002年頃〜⇒現代SC文化（極細高反発ロッドと超軽量ロングストロークリールの時代）

として扱うことが出来るのではないだろうか？

（便宜上該当する仕様のロッドとリールが出揃った時期を歴史分類の区切りとしている。）

 

今回は、これらSC文化発展の変曲点とも思われる古代SC文化を代表するタックルと

近代SC文化を代表するタックルで、飛距離やキャストフィールの変遷を比較検証した。

 

 

1.1　テキストロッドとリールの組み合わせ

 

表1　テキストロッド＆リールの組み合わせは…

年　代	アイテム	発売時期	名　称／型　式
古代SC文化 末期	ロッド	1981年頃	リョービ　EX煌　プロスカイヤー　400
	リール	1979年	ダイワ　プロキャスター　EX-9000S
近代SC文化 初期	ロッド	1993年	リョービ　S-GFX　プロスカイヤー TYPE-H　35-400
	リール	1988年	シマノ　チタノス　スーパーエアロ GT7000
近代SC文化 末期	ロッド	1998年	シマノ　スピンパワー　SC　425XX
	リール	1991年	リョービ　プロスカイヤー7 スーパーノーズ4570

 

 

 

 

1.2　機種選定理由

 

　�@古代SC文化代表

　　　(�@-1)　ロッド

当時のSC競技会において常勝ロッドだった（らしい）「EX煌プロスカイヤー」をチョイス。

当時としては斬新な100%カーボンロッド。

4.0m仕様は#1，#2セクションに比べて#3セクションが異様に長い。飛距離優先設計の

結果とのことであるが・・・とにかく太い！

　　　(�@-2)　リール

ロングストローク・リールでありながらまだ円筒カムを用いた平行巻き機構が搭載されてい

ない「プロキャスターEX-9000S」をチョイス。当時は、「無改造でもキャスティング競技会で

優勝できる」唯一の市販リールだったとか。

より詳しい仕様緒元や戦績の情報を求めてダイワ精工�鰍ｨ客様センターへ問い合わせた

ところ、貴重なご回答を頂きました。

「このリールは当時世界最長：40mmストローク機構を採用し、20mmストロークでの綾巻

角度：3〜6度に対して、10度という超広角度綾巻角度（クロスラップ）を実現しました。

この結果、極細ライン同士の食込みを防止してライン放出時の抵抗を大幅に削減する事

が出来たリールです。現在の競技会では使用タックルが紹介されますが、当時はタックル

紹介が少なかった様で、プロキャスターEX-9000Sに関する飛距離データ・競技会での戦

績など詳しい資料は残っていません。」

（ダイワ精工�蒲l、問い合わせに対する迅速なご回答、有難うございました。）

 

　�A近代SC文化（初期）代表

　　　(�A-1)　ロッド

EX煌プロスカイヤーのコンセプトを受け継ぎ、超高弾性カーボン織物による剛性アップを

図った「S-GFXプロスカイヤー」。EX煌プロスカイヤー400と体感硬さがほぼ同じであ

るTYPE-H　35-400をチョイス。

　　　(�A-2)　リール

2スピードオシュレーション＋大口径スカートレス5度テーパースプールは、

『投げのシマノ』としてナイロンライン用投げ専での最終結論的仕様である。

今回はプロキャスターEX-9000S：40mmとほぼ同じストローク：39mmである

「チタノス　スーパーエアロGT7000」をチョイス。

 

　�B近代SC文化（末期）代表

　　　(�B-1)　ロッド

SC競技会のST種目では多くの参加選手が愛用している「スピンパワーSC」。

このシリーズの中でも私が選ぶ最高傑作、425XXをチョイス。

EX煌プロスカイヤー400やS-GFXプロスカイヤーTYPE-H　35-400に比べると少し硬

めで、長さも4.25mと異なるが・・・

　　　(�B-2)　リール

プロキャスターEX-9000Sやチタノス　スーパーエアロGT7000と比較する上で

自重やスプール径，テーパー角度の差が少なく、45mmスプールを搭載する

「プロスカイヤー7スーパーノーズ4570」をチョイス。発売時期は1991年（近代SC文化）

であるが、その設計思想は現代SCリールに通じるところがある。

 

機種選定理由をまとめると、

ロッドではカーボン弾性率やブランクス径，カーボン積層パターン，主流長さの変遷による飛距離

やキャストフィールへの影響を検証し、

リールではほぼ同じスプールサイズを有する機種をチョイスすることで、オシュレーション方式の進

化による飛距離への影響を検証するのが目的である。